俺は借金返済を真面目にやっていた時期がある。家族にバレないようにと、返済計画を作って、きちんと返済日に間に合うように資金繰りをしていた。9社からの借入ともなると返済額は余裕で10万を超えていた。いくら返済しても元金がなかなか減らず、それはそれは孤独との戦いだった。
毎月、A4のノートに9社分の返済日と返済金額を書き、どうやって返済をするかをシミュレーションをし、近所のセブンイレブンに向かうのが恒例だった。資金切れになるとは思いもせず全力で返済を続けた。一人で何とかしてやろうという気持ちだけが強かった。
どうしても現金が足りない場合は、プロミスから借りてアイフルに返済するなど、してはいけないことまでやってしまったことも何度もあった。
カードローンの仕組みはおかしなもので、とりあえず返済さえしていれば何度でもお金は借りることが出来る。上限はあるが、返済している人間こそ優良顧客なのだ。返済に使ったお金の出所など関係なし、返済さえしてくれればOKの業界なんだ。
とうとう、返済できなくなった。当然、すべてのカードローン会社から督促電話が鳴り続いた。妻からは電話でなくていいの?と言われるたびに、ドキッとした。この件は触れないで欲しいと何度も願った。
カードがすべて使用停止になった。これで返済のための返済も完全に出来なくなった。
返済額が収入を超えてしまった。そして返済しないと決めた。
すべて一人で決断した。精神的にもおかしくなった。
家族にはバレたくはない、心配をかけたくないので、弁護士に相談した。
専門家に相談することで、迷いが晴れた。孤独との戦いは終わった。