カードローンの返済ができなくなって放置していると、突然督促が止まって、気が付いたら最後の返済日から3年ほど経過している場合があります。

「これってあと2年で時効の援用で借金をチャラに出来るのではないか?」と期待してしまう人も多いだろう。ところが、時効の中断と言って、時効が取り消しになってしまい時効が成立しないケースも多いので注意が必要だ。

※以後、銀行系カードローンを3年滞納し、督促電話やハガキも一切無視しているケースで説明します。

 

・時効の援用とは?

「僕、時効でーす」と カードローン会社に対して時効を主張することです。

法的にも借金がチャラになる瞬間です。

 

・時効の援用はいつでもできるの?

時効の主張自体は可能ですが、だからと言って時効がきちんと成立していないのに主張しても失敗に終わります。時効の援用は時効成立後にするものなのです。時効が成立するためにはルールがあります

 

・時効の成立要件は?

カードローンで借金した場合は、返済をしなかった最後の「返済予定日」の翌日から5年が経過すれば時効が成立します。

 

・5年過ぎても時効が成立しなくなる、時効の中断とは?

時効の中断とは「時効が一時ストップ」するという意味ではなく、「時効がリセットされる」という意味です。

時効が中断されてしまうと、せっかく積み上げてきた時効のカウントが0に戻り、新たに5年経過しないと時効は成立しなくなります。

カードローン会社はあらゆる手段を使って時効の中断を狙ってきます。

 

・時効の中断要件は3つ?

1、時効進行中に借金を1円でも返済してしまった場合や、電話で借金を認める発言をしたり、借金減額の和解案などの書類にサインをしてしまった場合など。とにかく借金を相手に認めてしまう発言や行動をしてしまった場合です。

※電話は録音されていますし、適当にサインをして返送してしまうと証拠が残ってしまう。

 

2、裁判を起こされて、確定判決が出た場合。

※督促電話がかかってきたり、督促ハガキが届くだけでは時効は中断しませんが、

無視し続けると、カードローン会社は法的手段に出てきます。裁判になると99.9%負けます、そして「債務名義」というのを取られてしまう。

債務名義とは、あなたがカードローン会社から借りた借金を裁判所が認めたということです。

 

3、給与や財産を差し押さえされた場合。

裁判に負けて、確定判決が出たあとに、実際に差し押さえをされる場合があります。その場合は差し押さえが実行された日に時効が中断します。

※差し押さえ等は取り下げられる場合があります。その場合は確定判決が出た日にさかのぼります。

 

・裁判所が間に入って時効が中断すると、今度は時効成立要件が10年になる

カードローン会社の借金は通常は5年間ですが、裁判で負けると時効がリセットされた挙句、今度は10年間経過する必要があります。

 

・時効進行中の苦しみ

時効の中断がなく5年間が経過すれば、あっさりと時効の援用ができますが、仮に5年が経過する手間で裁判を起こされた場合には、ほぼ負けますので、そこから10年経過しないと時効の援用が出来なくなります。

つまり、最長で15年もの年月が必要になってきます。正直長いです・・・。

カードローン会社は時効を阻止するために、ある日突然、督促電話やハガキが頻繁に届くようになりますし、裁判所からの通知を受け取ることは、精神的に辛いものです。(何通も受け取ると慣れますが)

家族に内緒にしている人は、正直、裁判所からの通知が届くようになるとバレやすいです。

裁判所からの通知(特別送達)は、土日に届いたりすることが多いですし、外出中ですと「裁判所より」と記載された不在表をポストに入れられてしまうので、家に居ても居なくても家族の誰かに見つかってしまう。

そこまでして時効をねらおうとしているのは、借金苦の王子様である俺くらい?・・・・

1社で50万円以上なら50%、100万円以上借りている場合は、金額が大きいのでほぼ裁判されますから時効を狙うならば15年間を覚悟しておいたほうが良いでしょう。

 

・時効の成立後の注意点、時効の援用し忘れは都合が悪い!

運良く時効が成立しても、時効の主張をしないとカードローン会社は「督促」をしてきます。

うっかり返済してしまったり、督促電話に出てしまうと時効が中断してしまう場合があります。

せっかく時効が成立する日が来たのならば、早めにきちんと時効の援用の手続きをしたいものです。

「僕、時効でーす」と宣言するだけでも良いのですが、ここは念のために「内容証明」でしっかりとカードローン会社に時効をアピールしましょう。

借金がチャラになるのですから、少しくらい弁護士の先生にお金を払って代行してもらうのも安心できるのでオススメですね。

時効が成立しているのに、うっかり借金の存在を認めてしまったりすると・・・リセットされてまた振り出しに戻ってしまうので本当に注意が必要です。

 

・時効の成立後の注意点、差し押さえは何度もされる?

裁判に負けて債務名義を取られているということは、あなたの借金を回収できるまで何度でも給与や財産を差し押さえることが可能だということです。時効の援用をしておかないと、相続で思わぬお金を手にしたりしても没収されてしまう。早めの時効の援用がオススメです。

 

差し押さえされるたびに時効は中断してしまうの?

定期的に差し押さえを実行されて、その都度、時効がリセットされてしまうようだと、「また10年かよ・・・」と、うんざりしてしまう。

裁判で負けて債務名義をとられても差し押さえなどされずに確定判決の日から10年経過すれば時効が成立するわけですが、

カードローン会社が10年経過手前で、再び裁判をしてきたらどうなるのか?も心配になります。

一応、日本の法律上、同じ裁判を何度も何度も起こすことはできませんので10年の時効成立前に裁判をしてくることはないはずです。ただ、差し押さえはどうでしょうか?差し押さえは立派な時効の中断要件になります。

時効を向かえる手前で差し押さえを実行されてしまえば、いつまでたっても時効が成立しなくなってしまう。

あまりにもしつこい業者から借金をしてしまうと時効の成立はほぼ不可能のような気がしてしまう。

 

・まとめ

以上、カードローン会社から借金した場合の時効の援用と中断について説明してみました。

今、日本では借金返済に苦しんでいる人が2000万人もいると言われています。カードローン会社も商売なので返済能力のない人間を30年も40年も追いかけないとは思いますが、かといって気軽に時効が狙えるかというとそうでもなく、借りた金額にもよりますが長く見積もって最低15年はかかると思っておいたほうが間違いないですね。

仮に、時効が成功するかしないかドキドキして精神的に参ってしまいそうならば、弁護士に頼んで自己破産なり任意整理なりで解決してもらえば済むだけですので、借金に対してあまり思いつめないで気軽に受け止めることも大切かなと思います。

時効を狙える人は差し押さえされても財産がないような人、つまり自己破産が可能な人とも言えるような人ですから、カードローン会社も10年手前で差し押さえをして、さらに10年時効を延ばすようなことなどしないほうが事務手続きも楽になるでしょうし、サラ金並みにしつこい業者であるとバレてしまえば気軽に借りる人が減っていきますし、あまりにも時効をさせてもらえないとカードローン会社のモラルが問われる問題でもありますね。

ちなみに、銀行系カードローン会社の場合は、滞納者が滞納を続けた場合、提携している保証会社から保証金を受け取っていますので金銭的な損失はありません。実際に、裁判をしてくるのは滞納者の債権がある保証会社に移っていることが多く、場合によっては債権がどんどん格安で転売されて債権者がドンドン変わっていってしまうので、最初に借りた銀行など跡形もなくなっていきます。

そう考えますと、格安で手に入れた債権者相手には手っ取り早く任意整理で大幅減額を提示してもらうのも1つの手ですが、個人個人のケースで対応は変わってくるので借金の解決法は慎重に選びたいものです。